『3…2…1…っ!』
子供っぽい性格の船長と、1人の狙撃手と、1匹の船医はぐぐぐっ、とエネルギーを溜め込み、
その他の船員も、行く年を見送り、来る年を迎えるその時が近づくと、
ジョッキを持つ手に力がこもる。
そして

『ハッピーニューイヤーッ!!』

船員全員の声が、海上にぽつんと浮かぶ船全体に、十分過ぎるほど響いた。



「みんな寝ちゃったみたいね…」
呆れた様子のナミが、静かになった甲板からそう察する。
「あれだけ騒いだのだから、当然でしょう?」
黒髪が美しい女性、ニコ・ロビンが微笑み、ナミに訴える。
「あのコックまで寝ちまったのか?だらしねェ…」
ボトルのまま酒を口の中まで運び、ゾロがそう呟く。
「じゃあ、私ももう寝るわね。今日は楽しかったわ。」
ロビンが立ち上がり、キッチンから外へと繋がるドアに手を掛ける。
そして、ふと思い出したように振り返り
「あとはお2人さんで楽しんでね。」
という言葉とともに、微笑みを残して去っていった。
「…何なんだ…アイツ。」
それに対して、ゾロは今となっては誰もいないドア付近を睨んで酒を一口含み、
ナミはその様子を、苦笑いを浮かべながら見つめていた。

キッチンを出たロビンの目に映ったのは、一筋の煙。
その煙は、殆ど風のない空気の中を空に向かって真っ直ぐに伸びている。
「あらコックさん、まだ起きてたの?」
その声の方向に、金髪コックのサンジが体は仰向けのまま、顔だけ向ける。
手には火の付いたタバコを持って。
「…キッチン取られちゃったんで。」
苦笑し、タバコを持った手でキッチンを示す。
その振動で灰が僅かに板の上に降った。
「それは可哀想にね。」
くすくすと笑いながら小声で、しかしその場からは動こうとはせず、ロビンが言う。
「いつまで隠してるつもりなのかしら?」
視界の片隅にキッチンのドアが入る程度に、顔の向きを変える。
中からは物静かな、しかし楽しんでいる雰囲気が伺える話し声が、微かに聞こえてくる。
その様子に自然と顔がほころぶのか、ロビンの表情はいつの間にか微笑みに変わっていた。
「とーっくの昔にバレてるんですけどね。」
ふぅ、とため息混じりの煙を吐き出す。
そして、ポツリと。
「…迷惑すんのはこっちなんだよ…」
彼が女性には決して使わない言葉遣いで呟く。
苛立ちが混じったその言葉は、おそらくは特定の男に向けられたモノだが、
深く眠っている船員たちの間を通り抜け、船全体へと染み渡る。
しかし肝心の『特定の男』には当然届かなかった。

「…寝なくて平気なのかよ?」
酒の入ったボトルを傾けながら、ゾロが真正面に座るナミに問いかける。
今までの話がひと段落し、暫くの沈黙の後に放たれた言葉。
「俺は昼間寝てっからいいけどよ、お前はずっと何かしらやってたからな。」
「まぁね。」
『感謝しなサイ』とでも言いたげな口調で、得意そうな顔で答える。
船の針路を正確に見定めるのも、幼稚な船長及び船員の面倒を見るのも、
必要な指示を与えるのも全ては彼女の仕事である。
よって、この船は彼女無しでは成り立たないのだ。
だから、彼女このような態度も当然のことだ。
「…年越しくらい一緒に飲もうかと思って。」
今度は先ほどの笑みとは違った微笑みで、そう続ける。
この狭い船内で、2人きりでいられる時間は貴重なモノなのだ。
「でもそんなに邪魔なら、私は先寝るわね。」
すっ、と席を立ち、真っ直ぐ出口へ向かう。
顔はうつむき加減で、表情を読み取ることはできない。
「待て…そうは言ってないだろ。」
その動作を見てゾロもすぐさま席を立つと、ドアノブに掛けられたものとは反対のナミの腕を掴む。
あまりにも細くて、簡単に折れてしまいそうな腕。
そのままその腕をひっぱり、ゾロは強引に自分の腕の中にナミを抱き込んだ。
「昼寝てるのはヒトリで飲むためじゃねぇよ。」
そう言ってナミの顔を自分に向けると、そのままキスをした。
ナミは嫌がることなくそれを受け入れる。
僅かに静寂の時が流れ、一旦二人の顔は離れた。
「…酒…ね。」
先に口を開いたのはナミだった。
「…お互い…飲んでたからな。」
答えたものの、そんなことはどうでも良さそうなゾロ。
そしてそのまま、白く、細い首筋に数回触れるだけのキスをした。
「…何する気?」
ナミが少しくすぐったそうに、しかし嫌がる気配はなく、そう問いかける。
「…俺は酔ってんだよ。」
問いとは噛み合わない答えを返し、2人は再び深いキスをする。

年越しの、長い夜は更けていく。
しかしこの夜、ゴーイングメリー号のキッチンの明かりだけは消えなかった。

そして、そのことを知っているのは
キッチンを自分のテリトリーとしている金髪コックの
サンジだけである。


書きましたよ!ゾロナミ!
やればできるものですね!
・・・・・・。
すみません…撃沈です(汗
何てったって、しばらくジャンプの漫画から離れてて、
ゾロの口調とか分かんなくなっちゃってたし、
極めつけは、ロビンの名前が思い出せませんでした。(爆
ワンピのサイト検索して、ようやく見つけましたヨ。
今となってはゾロルでさえ書けるかどうか…(。。;;

内容ですが…こんなんでいいでしょうか??
キリリクということもあって、いろいろ考えたんですケド…。
『ダメ』と言われたところでどうすることもできませんが。

ミス・プリンセス様のみお持ち帰り可です。



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