―――神様ハ僕ノオ願イ聞イテクレマスカ?―――



――僕の誕生理由は何?――

僕は毎年同じに誕生日を迎えた。
15回目の誕生日。
例年と何も変わらないと思っていた。
でも・・・なぜ・・・?
15回目の誕生日の朝目を覚ますと急に体が浮いたような感じに襲われた。
そうなってすぐ体から何本かの電話線に似たものが出てくる。
何も分からないうちに背中に羽が生えた。
硬くて冷たい鉄の羽・・・。
何時の間にか電話線もどきは無くなり、
それに引き換えて耳や腕や脚に機械の様な物がついていた。
理由も分からないまま人造人間の僕が誕生した・・・。


―――僕の存在理由は何?―――

僕には愛する人がいた。
黒髪が長い可憐で優しい人。
15回目の誕生日の日も彼女は人造人間となった僕を見て笑ってくれた。
僕は人間でない人間になっていても彼女のお陰で幸せだった。
ある日父親から説明があった。
「お前には大事な人を守って欲しかった・・・。
だから人造人間などにしてしまったんだ・・・。
その体なら大事な人が守れるから。」
と。
母親は撃たれて死んだらしい。
戦闘中の流れ弾に当たったと聞いている
きっと守れなかったことを後悔してのことだろう。
父親は母親を守れなかったから。
だから僕は誓った
愛する人は必ず守り抜くと・・・。

1年ほどして国から徴兵の命令が来た。
西暦3000年を超えたころから世界各地で戦争が多発した。
当然日本もその戦争に加わっていた。
そんな時代だ。
徴兵は当たり前。
僕は愛する人に別れを告げた・・・。
もう会えないかもしれない・・・と。

戦場である話を偶然耳にした。
何人かの若い兵士が話していた。
「この国は国民にも秘密で殺人兵器となる『人造人間』を作っているらしい。」
「15年近く前に人造人間の基となる赤ん坊を売ってくれる親を探していたらしい。」
「国はその親に莫大な金額を差し出したらしい。」
立ち聞きしていた僕は固くて冷たい羽を使って猛スピードで父の下に戻った。


―――僕の生まれた理由は何?―――

父親に真実を求めた。
なかなか喋ろうとはしなかったがとことん問い詰めた。
そして分かった。
父は子より金を選んだのだ。
母はその時反対したので殺したらしい。
言葉に出来ないくらいの怒りが込み上げてきた。
次の瞬間には助けを求める父親を持っていた銃で撃ち殺していた。
僕のはじめての殺しだった・・・。


―――この不思議な力は何?―――

この地球ではいたる所で戦闘をしている。
海や空ではもちろん町の中でも・・・。
この地球上に安心できる場所など無い。

父を殺したあと愛する人に会った。
彼女は返り血を浴びていた僕を見て驚いたが僕が涙を流すと優しく包んでくれた。
彼女さえいればいい。
本気でそう思った。
僕が何とか立ち直り、2人で歩いていると戦闘場面に出くわしてしまった。
流れ弾が彼女に向かって飛んでくる・・・。
そう思ったら彼女の前に飛び出していた。
死んだと思った。
でも現実は違う。
自動的に出現した黄緑に近い半透明な球形のシールドに僕らは守られていた。
僕にはもちろん、彼女にも傷1つ無かった。
始めは何かと思った。
でも後にこれも『人造人間』の力だと知った。
この力があれば彼女を守れる。
正直僕は喜び彼女にそれを伝えた。
しかし彼女は複雑な表情しか作らなかった。


―――生き続けなくてはならない理由は何?―――

彼女は歳を経るにつれて老いていった。
しかし・・・僕は老いなかった。
いつまでも15回目の誕生日の時と同じまま。
きっと細胞の一つ一つに機械が組み込まれていて老いないような体になっているのだろう。
信じられなかった。
何十年もして彼女は死んだ。
寿命だった。
いくら銃の弾から守っても寿命からは守れなかった。
言葉に表せないほどの悲しみに襲われた。
泣いて泣いて泣きまくった。
枯れるほど泣いた。
死のうと思った。
持っていた銃で僕はこめかみを打ち抜いた・・・。
それなのに・・・。
僕は生きていた。
血は流れたところを見るとまだ人間だということが分かった。
僕には自己再生機能が付いているようだった。
何度やってもすぐに再生してしまう。
まさに不老不死。
僕は死ねないことに絶望した。
なぜ死んではいけないのか国王に直接問いただした。
僕が死ねない理由はこうだった。
「人造人間は戦争に『使用』するためそう易々と死んでもらっては困る。」
「人造人間を一体作るのに莫大な費用がかかる。」
「他国に流出するのを防ぐため設計書類などは全て燃やした。」
父親を殺した時と同じ怒りが込み上げてきた。
国の戦争のために僕の人生は勝手に決められてしまった。
国王も殺した。
どうせすぐ新しい国王が誕生するのだろう。
殺したところで何も変わらない。
腹いせのつもりで殺した。
今度は慰めてくれる人もいなかった。
涙さえ出なかった。


―――孤独にさせる理由は何?―――

僕の心臓はとっくに死んでいるはずだった。
きっと心臓に変わる機械が取り付けてあるのだろう。
そのせいで僕は生き続けた。
戦場で人を殺し、寿命で死んでいく人たちもたくさん見た。
死ねる人が羨ましかった。
僕は死ねもしないし老いもしない。
シールドは出るし空は飛べる。
人間ではない『人造人間』
そんな僕に近寄ってくる人は前にも後にもあの人だけだった。
いつでも僕は孤独だ。
もう何年だろう・・・?
100年?
200年?
あるいはもっと・・・?
ずっと僕は孤独だ。
今でさえ。
生涯・・・いや永遠に僕は孤独だ。
いい加減この機械の機能が停止して欲しかった。
でもそれはない。
きっとこの戦争が終わっても僕は孤独だ。
戦争が終わったとしてもきっと死ねない。
僕に出来ることは殺しだけだった。
永遠に殺すことしか出来ないのだった。



―――神様・・・哀レト思ウナラ僕ヲ殺シテ下サイ―――


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何だかんだ言って気に入ってたので再登場。
でも改めて読んでみると悲惨ですネ。(苦笑
昔はこれで満足してたのかと思うと泣けてきます・・・(^^;
でも気に入ってます。(何
初めて書いたオリジだし。
設定が気に入ってるだけカシラ?
とにかく気に入ってたので載せてみました。
読み苦しくてすみません・・・(平謝り

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