・・・雨は嫌いだ。
嫌な程の湿気に襲われるから。
髪のまとまりは悪くなるし、普段スーツの俺には気持ちが悪い。
それに、何てったって食材の痛みが相当早くなる。
カビだって生えやすくなるしな。
そんなこんなで俺は雨が大嫌いだ。


        
雨降リテ地固マル


今日の俺は機嫌が悪い。
それは誰の目にも明らかだろう。
昼間だって、大切な食料を盗み食いしに来たうちの船長をいつもの2.5割増位で蹴っちまった。
あのクソゴムはかなりのバカで、察しの悪さといったら右に出る者はいないと思わせるほどだが
どうもいつもと違うことを何となく感じたらしい。
さっさとどっかに行っちまった。
きっと遊び相手でも探しに行ったんだろうがな。
・・・そいつが濡れたまんま入ってきたせいで、俺が今いるキッチンの床は水浸しになっちまった。
いつもだったら文句を言いながらも拭くところだが・・・そんな気も起きやしねぇ。
水溜りとなってしまっている部分を睨みながら、俺は椅子に腰を下ろした。
「・・・ったく、あのクソゴムは・・・」
明らかにイラついている口調。
別に床が濡れただけではココまで機嫌は悪くならない。
俺だって、そんなに心が狭いワケじゃねぇ。
そんなちっせぇ心しか持ち合わせてねぇとしたら、きっとこの船ではやってけない。

そんな調子で過ごしていたら、何時の間にか夜になってた。
だからって苛立ちが収まるわけではなかった。
「時間が解決してくれる」ということを言った人間もいたらしいが、どうも俺には分からねぇ。
とにかく心を落ち着かせるために、1本の煙草を取り出す。
・・・明らかに湿っていた。
いつもとは違う煙草の手触り。
煙草を吸おう、という考えは逆効果となってしまった。
湿気の多さを実感してしまったため、苛立ちは返って大きくなる。
だからと言って、煙草が吸いたくないわけじゃない。
マッチを取り出し、火を付けようと試みる。
・・・が、いつもなら一発で付くのに、今日に限ってなかなか付かない。
原因は分かりきっている。
更に苛立ちながらもやっとのことで煙草に火をつけると、大きく1度吸っては吐く。
静かな室内。
そこに聞こえるのはただ1種類の音。
3,、4日前から途絶えることなく鳴り続けている音。
そして俺の苛立ちの原因。

   ― 雨 ―

1、2日なら俺も我慢する。
それにココはグランドラインだ。
天気なんて何時、どのように変わるかなんて全く予想できない。
雨が降ったってしょうがない。
第一、天気は自分たちの都合で操作できるもんじゃないからな。
そんなこと位俺だって分かってる。
だからって・・・なんでこんなに降り続くんだよっ!
毎日毎日同じ調子で・・・。
雨嫌いな俺じゃなくても苛立つってんだ。

そんな事を考えながらボーっと煙草をふかしていたら・・・更に俺の機嫌を損ねる奴が入ってきやがった。
緑の髪の毛を短く刈りそろえた、筋肉バカの剣士。
顔をあわせるたびに言い争う相手。
こいつは何故か俺を苛立たせる。
原因が掴めない、不思議な苛立ち。
そいつが目の前で酒を漁っている。
俺の存在を無視でもするかのように。
ま、口を開けばケンカになるのは分かりきってるからな。賢明な判断なのかもしれねぇ。
しばらくその様子をじっと見てた。
どうやらお目当てのモンが見つかったようで、酒瓶を1つ持って外へ向かう・・・と思ったら、俺の向かいの席に座りやがった。
その様子を何となく目で追ってたため、当然目が合う。
筋肉バカのクセに意外に整った顔立ちしてんな・・・なんてバカなことを考えてると、見ていた顔の口が開いて声が飛んできた。
『どうしたんだ?』 ・・・俺はそれに『何が?』と返す。
先程から機嫌が悪いのは変わらない。むしろ悪くなっている。
よって、俺の言葉は自然とぶっきらぼうになっていた。
そんなことはお構いなしに、ヤツは酒を一口含むと言った。
『お前、ここんとこいつもと違うだろ。だから・・・』『大きなお世話だ。』
ヤツの言葉を遮って、俺は言い放った。
なんでヤローに心配されなきゃなんねぇんだよ。
どうせならナミさんみたいなキレイな女の人がいいんだって。
それに、どうしていつもと違うなんて分かんだよ。
ソッポを向いてふてくされていると、奴が立って部屋のドアへと向かった。

そこにいるのは嫌いな奴なのに、何故か今は1人になりたくなかった。
『おい、ちょっと待て。今何か作ってやる。』『・・・・・。』
奴が立ち止まり、振り返ったのを確認してから俺は立ち上がった。
ドアとは反対側にあるキッチンに行くためだったが・・・結局それは未遂に終わってしまった。
後ろから腕を掴まれ、そのまま抱き込まれてしまっていた。
気付いた時にはソコに収まっていて、抵抗するひまなんて無かった。

・・・言い訳だ。
状況を把握した時点でも、少なくとも俺は逃げようとはしてなかった。
僅かながら安心感を覚え、今までの苛立ちもすっかり消えていた。
そして・・・これまで何度も湧いた『不思議な苛立ち』の正体も分かった。
自分は認めようとはしてなかったのだ。
奴に対する俺の『感情』を。
いや、正確にはコイツに対する感情を認めたくはなかったのだ。
認めたくない感情が自分の中にあったから・・・それが嫌で・・・
きっと無意識のうちにイライラしてた。
なんたって相手は野郎だ。
俺じゃなくたって認めたくないだろうよ。
それなのに・・・コイツは・・・俺より先に自分の感情に正直になっていた。
何だか・・・自分が妙に子供に思えた。

ヤツが俺の耳元で囁いた。
聞きたかったような・・・言いたかったようなコトバ。
答えようとしても何だか恥ずかしくて・・・でも嬉しくて・・・・・・
結局何も言えそうに無ぇんで、ヤツの白いシャツにただしがみついてた。
・・・我ながらバカだな。
そしたら幸いにもこっちの『気持ち』ってヤツが伝わったみたいで。
顎を持ち上げられて・・・上を向かされて・・・キスされた。
最初は触れるだけの軽いキス。
どうやら様子見のようで。
拒否する素振りをしなかったら、今度はもっと深くて長いキスだった。
どの位の時間だったか分かんねぇし、そんなこと気にしてられなかったが、
とりあえず覚えてることは・・・酒の味だったってこと。
ヤツはどうやら酒を見る目だけはあるようだな。



・・・雨は嫌いだ。
嫌な程の湿気に襲われるから。
髪のまとまりは悪くなるし、普段スーツの俺には気持ちが悪い。
それに、何てったって食材の痛みが相当早くなる。
カビだって生えやすくなるしな。
そんなこんなで俺は雨が大嫌いだ。


・・・たまにはいいかもしれないと思った。


・・・でもやっぱ嫌いだとも思った。



・・・(汗
やっちまいました。
初のゾロサンですよ。
『ゾロ』と『サンジ』と『好き』というコトバが入ってません。
・・・あえて入れてません。
勝手に想像(妄想)できるように(爆
だからゾロがサンジさんになんて言ったかは、読んだ人が好きなように想像(妄想)してくれていいわけです。
というわけで、どうぞお好きなように。(何
ところで、サンジさんは実際のところ雨が嫌いなのでしょうか??
勝手な私の設定です。
・・・ホントは好きだったりしたらどうしましょう??(何

リクエスト物がこんなんでいいんだろうか・・・??
この題だって三日三晩考えた挙句のこんな題ですよ?
何にも捻ってない・・・(汗

というわけで、イモさん。ゴメンナサイですっ!!
遅くなった上にこんな小説で・・・(汗
初のゾロサンですみません・・・。
もろ私好みですみません・・・。
・・・よかったら貰ってやってください・・・。(図々しいっ!



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